わたしのお守りのような2本(の映画)の話

こんにちは。

何かの記事で書いたような気がしますが、映画が比較的好きな方です。ジャンルはそんなにこだわりを持たず、レンタルビデオ店の棚の端から順に見ていくジャンキーな見方をしていた時期もあるくらい。さすがに働き始めてからはそんな見方する時間がなくなってしまいましたが、今も週に何本かは映画を見ているようには思います。

さて、先日わたしのお守りのような1冊、ということで、人生の指針になっているような本のことを紹介しました。

番外編ということで、わたしの人生に深く関与している映画についての話をします。

なぜそこに思い至ったのかというと、これもまた先日、 Celesシネマ というサービスを利用したことに起因します。好きな映画のタイトルを指定すれば、そのイメージの香水をプロがピックアップし量り売りしてくれるというもの。Twitterでプレスを読んで、映画と香水、という2大好きなものがかけ合わさったサービスのことが気になっていたものの、うっかりすっかり忘れていて、最近になって利用されている方のツイートを読んであわててお願いしてみました。

量り売り用の小さなボトルのほかに、香水を紹介する小さなカードが同封されて送られてきます。

初対面の人に、好きな映画は、やおすすめの映画は、と問われると選びきれなくて迷ってしまうのですが、こういうふとした時に思い当たる映画は、自分の人生の中で存在が大きいものなのかなとそんな気がしています。

ということで、思い入れの深いお守りのような2本の映画の話。


グラン・ブルー(リュック・ベッソン、1988年)

大学で所属したのはフランス映画研究をご専門にされている先生のゼミ。わたしがフランス映画に最初に興味を持ったのがリュック・ベッソンというフランス人監督が撮った『グラン・ブルー』でした。

といっても全然フランス映画っぽくなく、主な舞台はタオルミーナというシチリアの街。日本の車のCMでドラえもん役を演じたこともあるジャン・レノがダイバー役の一人として出演します。主人公はジャン=マルク・バール演じるジャック・マイヨール。実在するフリーダイバーをモデルにした、イルカと海に心が囚われたフリーダイバーで、突出した潜水能力を持っています。ジャックとジャン・レノ演じるエンゾ、というダイバーは幼なじみで、タオルミーナで開かれるフリーダイビングの競技会で再会するんです。

この映画の何が好きか、と聞かれると説明がちょっと難しい。実家にあったVHSは擦り切れるほど観ていたし、デジタルレストアのボックス版が販売されてからも何かあるたびに繰り返し観ていて、観るたびに新しいところが好きになります。例えばキャラクターの造形だったり、あるいは劇伴音楽のよさだったり。

一つおすすめできるとしたらやはり圧倒的なロケーションの美。フリーダイビングの話なので、全編通して海の様子が美しく存分に映し出されています。イルカも可愛い。タオルミーナの景色もとびきり良くて、気軽に旅行することができない社会情勢下にある今観ると、旅行の代替という役割の映画としても機能してくれるのではないかなと思います。


イメージ香水の話

Celesシネマでこれをリクエストしながら、届くのはきっと多分 アクア・ディ・パルマ の チェドロ・ディ・タオルミーナ あたりじゃないかな、と思っていました。映画の舞台と同じタオルミーナの地にインスピレーションを受けた香り、ということで。とっても安直。

手元に届いたのは ラルチザン・パフューム の ビュコリック・ド・プロヴァンス 。ラベンダーとレザーが混ざった、どこか懐かしいような、田舎で嗅いだことのあるようなそんな感じの香りです。清廉なラベンダーの香りなんだけど、ただのラベンダーでなく、ほんのりスパイシーな要素が混ざっている感じ。

https://www.celes-perfume.com/product/lartisan-parfumeur-bucoliques-de-provence/

てっきり海っぽい香りの香水がくるものと思い込んでいたわたしは最初嗅いだ時に不思議な気持ちになったんですが、物語や出てくるキャラクターを意識して嗅いでみると、クラシカルな印象というと確かにそうかも。こういう、爽やかな中にひと癖あるような香りはかなり好きです。

ジャックと恋に落ちるジョアンナ(ロザンナ・アークェット)という女性のキャラクターの、爽やかでフェミニンで少しだけ大胆(なぜなら一目惚れしたジャック目当てに、働いていたニューヨークからタオルミーナまで追っかけをするので……)、それでいて時折見せるゾッとするほど妖艶で、そして何よりジャックに対する包容力の高さ。そんな女性の姿を念頭に置くと、確かに『グラン・ブルー』はこういう香りのイメージになるのかな、という気もします。多分ジョアンナはわたしがずっとなりたいと思っている女性の姿のうちの一つなんですが、この香水を嗅いでいるとほんの少しだけ、ジョアンナに近づけるようなそんな気持ちになります。

嗅げば嗅ぐほど好きになるしジョアンナになりたいので(?)、これは現品買いする予定です。 ラルチザン・パフューム は他のも嗅いでみたいな。


ブレードランナー(リドリー・スコット、1982年)

もう一本は先ほどと打って変わったゴリゴリのSF映画である『ブレードランナー』。

見る映画のジャンルにこだわりは持っていないけれど、卒業論文の題材で取り扱ったのがSF映画というジャンルだったので、とりわけ擦り切れるほど見た『ブレードランナー』はかなり特別な存在。大学4年生は『ブレードランナー』も含めてSF映画を200本分ぐらいひたすら見続けました。これはちょっとだけ自慢なんですが、書き上げた卒業論文は学部で表彰されました。インターネットの海をただよえば、おそらく今もひっそりと公開されています。

『ブレードランナー』という映画、一応小説が原作となっていて、小説を読んだことはなくてもタイトル知っているという方は多いかもしれません。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック著)といいます。タイトルのキャッチーさから参照されることが多いように思いますが、内容も本当に面白いのでぜひ読んでみてください。映画とは設定や展開はだいぶ違うのですが、それはそれ、これはこれ、ということで。

映画の舞台になっているのは2019年のロサンゼルス。環境破壊が進み酸性雨が降り頻る、人口が過密な大都市とされています。レプリカント、と呼ばれる人にそっくりな人造人間と人間が共存している世界で、人でないが故に過酷な労働を強いられているレプリカントが自由を求めて脱走し、脱走したレプリカントを判別し抹殺するという任務を請け負っているのがブレードランナー、という捜査官。ハリソン・フォード演じるデッカードは元ブレードランナーだったのですが、とある事件をきっかけに再びブレードランナーとして仕事をすることになり……、という感じで物語が始まっていきます。

『ブレードランナー』は作り込まれた劇中の世界観がとても良いです。こうなって欲しくない、でもこうなるかもしれない、というギリギリを攻めたような未来予想図と、それに説得力を持たせるための小道具の数々は、公開から40年近く経って当時思い描いた未来を過ぎた2021年に観てもどこか近未来的な輝きを放ったままです。ことSF映画という分野においては『ブレードランナー』がビジュアル的にエポックメイキングな存在となっているので、『ブレードランナー』以降のSF映画を観る時に『ブレードランナー』のことを知っていると、映画に散りばめられた仕掛けに気づいてニヤッとすることができたりするかもしれません。

人間を人間たらしめているものは一体なんなのか、という哲学的な文脈で語られることも多いですが、そんなに気難しく考えないで、出てくるガジェットの近未来っぽさをわーっと眺めたり、若い頃のハリソン・フォードやルトガー・ハウアーの渋みに浸ったり、そんな感じで好きに触れていただけると嬉しいなと思います。


イメージ香水の話

『ブレードランナー』をリクエストして選んでいただいた香水は トム フォード の プラム・ジャポネ でした。

https://www.celes-perfume.com/product/tom-ford-plum-japonais/

嗅いだ瞬間、祖母の家の仏壇の匂いだ!となったのが第一印象。天下のおトムに向かってめちゃくちゃ失礼……。でも本当に、お香みたいな香りが仄かに広がっていきます。わたしの肌ではあんまり梅っぽさはしなかったかも。仄暗くしっとりと艶やかな香りは、欧米からみた伝統的な日本のイメージってきっとこうなんだろうな、とそんな気がしてきます。

ファイナルカット版のティザー映像を見ていただければ一目瞭然なんですが、『ブレードランナー』のいる2019年のロサンゼルスは、かなり街の造形に日本の要素が取り入れられているんです。一番わかりやすいのは、舞妓姿の女性が大写しになる強力わかもとのデジタルサイネージ。リドリー・スコットが来日した際、新宿・歌舞伎町にインスピレーションを受けたとのことで、異国の地の観たことのない景色のはずなのに、日本人にとっては不思議な親近感を覚える様相になっています。

『ブレードランナー』の雨が降りしきるどんよりとした、東洋的な要素をふんだんに取り入れたような仄暗い世界と、プラム・ジャポネのしっとりとした香りとは確かにシンクロする部分があるなと納得感があります。生産終了した香りなので大事に嗅がないと……。


Celesシネマですが、ムエットだけなら500円(送料別)で楽しめるので、お気に入りの映画があればぜひお試しになられてはいかがでしょうか。キャラクター指定やシーンの指定もできるみたいなので、推しのキャラクターがいる方なんかはそれもおすすめです。2月末までの期間限定。


香りものといえばもっぱら普段はジョーマローンロンドンに頼りっぱなしなんですが、映画をきっかけに全く知らなかった香りに触れることができてかなり楽しかったです。

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無理をしないがスローガン

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